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摘要
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本発表では、日本在住の日本人夫と台湾人妻の夫婦が、社会の「日本人ファースト」の声の高まりをいかに捉えているのかを明らかにする。データは、2025年 12 月から 2026 年 2 月にかけて、5 組の日台夫婦を対象に、子育て経験について夫妻別々に行った半構造化インタビューである。分析の焦点は、4 人の夫と 5人の妻に対して質問した「昨今の日本人ファーストや外国人排斥の空気の高まりについてどう思うか」に対する回答部分である。分析では、夫妻それぞれの返答を外観し、さらに夫の語りをナラティブ分析と会話分析の「成員カテゴリー化装置」(Sacks, 1972)の概念を援用して分析する。
5 人の妻のうち、「日本人ファーストにより個人的に影響を受けている」と答えたのは 1 人のみで、他 4 人は個人的な影響はないと答えたが、そのうち 1 人は将来の子供への影響を心配していた。一方、4 人の夫のうち 3 人は質問自体をまず否定し、「外国人」を「違法・不法外国人」と訂正した上で、SNS 等で流布されている「外国人犯罪」について説明する語りを展開した。また、残り 1 人の夫は外国人排斥の高まりに懸念を示したが、その理由は妻への影響というよりも、自身が多くの外国人と働く立場にあり、日本社会での外国籍労働者の重要性を認識しているためであった。以上の分析から、日本人夫には「日本人ファースト」や「外国人排斥」の対象に自分の妻は含まれていないと考える傾向があることが明らかになった。 |